太鼓館 西園寺穂純
プライベートルーム

西園寺穂純の新居浜太鼓祭り回想録(41)

 

 

令和4年 16()17()18() 松山B5

 

 

●今年は行政側から行動制限のお触れは無いので、9月中に駅前のホテルに1016()17()2泊予約を済ませておきました。3年ぶりの新居浜太鼓祭りです。是非とも今年新調の岸之下・松木坂井・西町の3太鼓台は見てみたいと思います。それにじっくり見たことのない上本郷と中筋も見てみたい。喜来は去年あかがねミュージアムで見分済みです。

 

 

●各日の行動はどうしようか?初日午前の八旛神社統一氏参りは高津組・垣生組とも絶対に欠かせません。そうだ夕刻は大生院へ行こう、ここで岸之下と上本郷を見よう。中日は午前中河川敷、午後は山根で松木坂井と中筋を見ようと思っていたのですが統一行動どころか集散さえもしないのでブランクです。夕刻は多喜浜駅前統一行動を早めに済ませマルヨシセンターで松木坂井と中筋を見たいと思います。楽日は午前中大江浜で西町を見たいと思いますが、午後は東へ行くか西へ行くか未定です。

 

 

●八旛神社の氏参りは早い組が午前8時です。この時刻表示は一般向けには不親切で、神事開始の時刻なのです。太鼓台が宮入りする姿や他の太鼓台と戯れる姿を見るためには午前7時半には現地に居ないといけません。松山を午前5時に出なければ間に合わず、ここは午前4時起きになりました。

 

 

●八旛神社にその年1番初めに氏参り出来る太鼓台を一番太鼓といって大変名誉なものです。嘗てはこれを争って神社前で初日から喧嘩をしていたらしいですが、平成初期までは事前に太鼓台ごとに時間を割り振って1台ごとに神事を行う時間制氏参りとなっていました。それが全台一緒に神事をするようになったので「統一氏参り」と称したのですが、前回からは高津(松乃木含む)組・垣生(浮島含む)組に分かれた「分裂統一氏参り」となっています。

 

 

●今年の一番太鼓は松乃木・澤津・東雲の3台です。宇高は見えません。運行許可申請をしなかったのか運行許可は出ていたが諸般の事情からこれを辞退したのか判然としません。澤津は人がかなりついていますが松乃木と東雲は少ないです。松乃木は今年も重旗が日章旗・旭日旗でした。3台が宮を出たところで、私も拝殿で礼拝し本殿回りの後拝殿前で一礼し氏参りを終えました。

 

 

●程なくして垣生組が入場しましたが、浮島太鼓台には「祝創建30周年令和3年」、町太鼓台には「祝新調五十周年」の懸垂幕が掲げられていました。もうそんなになるのか感慨深いです。町は昭和47(1972)に上水引と高欄幕を新調したので確かに今年2022年は50周年です。浮島は平成3年(1991)に分離独立ですから、去年が30周年に間違いありません。それにしても浮島は人が多い、多過ぎる。何か企んでいるのか?町は少な過ぎる。

 

 

●昼頃、川東を一周すると、東浜自治会館広場に東浜太鼓台を認めました。重旗が茶色地のものに変更されていました。東浜の重旗は、私が知っているだけで水色地、茶色地、金色丸文字、紺色白文字などバラエティー豊かですが、茶色地のものは他に類が無く独自性があって良いと思います。午後は東雲マクドナルド交差点付近に行きました。県道を多喜浜駅方面から澤津・松乃木・新田・白浜が連なって登場します。西側には何と楠崎太鼓台が待機しているではありませんか。各台と端缶合わせの雰囲気ですが大丈夫でしょうか?楠崎澤津は平成2年に戦歴があるし、松乃木は澤津に一蓮托生、楠崎白浜は嘗ての好敵手なのです。楠崎の盛り上がり方が異様でしたが、実に見事な端缶4連発で良い趣向でした。

 

 

●大生院にはJRで中萩駅まで行くことにします。同好の士も多く、駅員も中萩駅へ行かれる方は往復で切符を買ってくださいと周知していました。私は中萩駅前へは車で来たことはありますが、国鉄時代を含めて汽車・電車で乗降した記憶は全くありません、初利用です。南に歩くと国道11号線交差点付近に既に太鼓台が見え隠れしています。太鼓台列は旧道に並び来る開始時刻を待っているようです。段々気分が漲って来ます。

 

 

●フレッシュバリュー大生院店には平成7年に来たことがあります。実に27年振りです。どんな入場順なのか規則性があるのか判然としませんが、大生院4台・萩生4台・中3台の計11台が無事入場を終えました。目当てにしていた上本郷の正面の鯉だけはしっかりと目に焼き付けました。岸之下も見ましたが、既に日は暮れており遠景では詳細は良く見えませんでした。上水引正面は何か白っぽい人物のようなものが描かれているようですが判然としません。名札は着けていないようです。帰りの電車の時刻に良いのが無く入場だけを見て退散と相成りました。この後寄せ太鼓が披露されたものと思います。初日はここで終了、まだ喧嘩の情報は無い。

 

 

●2日目、生憎の雨ですが、この程度の雨で中止される新居浜太鼓祭りではありません。今日午前中は是非とも川東西部の統一行動を見たいと思います。注目は下原から宇高入りをする際の各太鼓台の振舞いです。宇高自治会館前でも御華・花束の贈呈はあるでしょうから、ここが平穏であれば来年の全台運行に希望が持てます。しかしここで少しでも騒いだり暴れたりするといけません。ここが今年の大一番です。

 

 

●さてその光景は如何でしたか?何と私は残念ながら遅刻してしまいました。私が宇高入りした時既に行列は通過済みでした。まだ東雲にも来ていないのでほんの一寸だけ遅れたようです、ああ残念。

 

 

●東雲交差点から沢津ファミマ交差点、ひまわり沢津店から北行し松の木自治会館前、たまもタクシー交差点から沢津自治会館、西沢津バス停からバス通りへ例年のコースを例年通り進みます。西沢津バス停の旧道で待機する西部の太鼓台が、バス通りを進行する川東運営協所属の9台を見送ります。幸せの極みであります。澤津の花束贈呈場所も喫茶ピエロの巣前に戻っていました。雨は止みません。

 

 

●私は車を国領川河川敷左岸新須賀側の駐車場に置き、ここから右岸の会場を眺めます。結構良く見えるじゃないかと感心しきりです。移動して新高橋上からも見ます。これまた良く見えますが、今年は観客数が少ないようです。ビニール合羽の品評会ではなかなか弾みません。会場ではこれといった見せ場もなく太鼓台も私も退散しました。まだ喧嘩の情報は無い。

 

 

●かなり濡れたので一旦宿に帰り雨具類を整えた後、午後に備えようと思っていましたら、何と「松木坂井太鼓台と岸之下太鼓台の2台が駅前の広場で舁き競べを披露してくださる」そうです。時刻は午後3時、まさに西園寺穂純のためにセットしてくださったような僥倖、今日のあなたはツイてます。新調太鼓が2台も至近距離で見分できる大好機であります。

 

 

●松木坂井太鼓台。実に黄色い。上水引は先代を踏襲した大三島鶴姫伝説の続き図柄4枚セットです。人物の表情が先代と少し趣が違います。高欄幕の龍頭2種は踏襲されていましたが、御殿幕は新図柄でした。正面は大三島の大山祗神社の様です。今一枚は判然としませんが、縮三文字紋が配されていることから同神社別景か地元の浦渡神社かも知れません。

 

 

●岸之下太鼓台。こちらは実に青い。昨日上水引正面にぼんやりと白い塊のように見えたのは姫の衣装の様です。誰なのかは全然知識がありません。後日勉強しましょう。さて、この新調太鼓台で避けて通れないのが布団締めの宝珠龍の尻尾の形態であります。全体としては跳ねているのに尻尾の先っぽは巻いているという何とも珍しい形態です。私は初めて見ます。新居浜はおろか近郷でも見たことがありません。合田縫い師のオリジナルなのか、それとも地元に何か伝説でもあるのか興味が尽きません。

 

 

●多喜浜にはJRで多喜浜駅まで行くことにします。同好の士に加え、地元の汽車通学の高校生の大群とかち合い超満の客を詰めた込んだ車両が多喜浜駅に着きました。電車での祭り見物は実に楽チンであります。新居浜多喜浜間片道210円往復でも420円也、僅かこれだけで駐車場の心配やヘトヘトになって数キロ歩き続けなければならないリスクが回避されるのです。ありがたや有難や。多喜浜駅には臨時に駅員が配されていました。

 

 

●多喜浜駅前交差点、ここへ来るのも久しぶりです。何でも全国に向けたインターネット中継もされるそうです。不細工な姿を晒さないで欲しいと切に願います。川東西部側から入場です。私は交差点中央に陣取りました。最初は東雲から、かなり上手く舁いているじゃないか。こんなに上手かったか?何と掛け声もチョーイトセージャーと言っている。実は舁き手の半数以上が青法被ではなく臙脂法被でした。2番手は澤津、例年のような豪快な放り上げが見られるものと期待しましたが全然ダメ、東雲の手伝いに行き過ぎて本家が疎かになったようです。松乃木も苦戦。続いて垣生側ですが、所作途中で45度倒れが複数台で発生し怪我人も出た模様です。山端の早足入場も途中で落としてしまいました。これらの事象は舁き棒にたかっている人の数が例年に比べて少なかったことを意味していると思います。町が一番良かった?

 

 

●西部が入って交差点東側に鎮座し、多喜浜が入場演技中に汽車の時間が来て退場しました。マルヨシセンターで中筋を見たかったからですが、汽車に乗ったところ、インターネット情報によると中筋は既に退場したとのことです。何がどうなっているのか?3時ごろの僥倖の裏返しのような仕打ちですが、「それが祭りというものよ」と諦めます。仕方なしに宿へ帰ってインターネット中継の多喜浜駅前を見ました。

 

 

●インターネットで以下の情報を得ました。川西で西原・新須賀、東町・西町が落車のまま棒を絡めて喧嘩し舁き棒が折れた。中須賀・大江が対峙し荒れている。人間同士で殴り合いを続け舁き夫や見物人に相当数の怪我人が出ている。複数台の太鼓台が3日目の運行を自粛する模様だが、川西協による解体命令は出ていないらしい。

 

 

●楽日、午前中はマルニふとん店前交差点です。東に中須賀が居て、北から東町が上がって来ます。何か例年とは大いに違う変な光景です。中須賀は完全喧嘩ルックです。大江と新須賀は運行自粛らしく、西町太鼓台が運行自粛ならこりゃ困ったなと思っていたら出場しているという情報を得ました。探すと三井住友銀行付近を休憩中の新調西町太鼓台に遭遇しました。これで今年の見学目標はほぼ達成ということになりました。

 

 

●西町太鼓台を見分します。「本当にこれが金鱗の作品なのか?なんだ、やれば出来る、やれば出来るじゃないか、ド〜ンと行きましょう」というのが率直な感想です。コテコテ盛りの幕ではなく新居浜太鼓台の幕らしい薄くても立体感を感じさせる素晴らしい幕でありました。特に、上水引正面の舳先の図柄は昭和初期に着けていた幕をよく再現されていて感動ものでした。また、布団締め宝珠龍の尻尾に施された捩りなどの手法は上手いなと思いました。

 

 

●午前中は中須賀海岸、午後も一宮神社と共に川西で過ごしました。流石に疲れてきたので午後5時頃新居浜を後にしました。

 

 

●帰松後、インターネット上、YouTubeTwitter17日午前の宇高自治会館前、同日午後の工場前及び18日午後の八旛神社での映像を見ました。

 

 

●(年末追記)1228日、あかがねミュージアムに展示中の大島の屋台(上之町・中之町・西之町)を見学しました。夜宮とか明神さんとか呼ばれている大島(全国区別をする際には新居大島)の屋台の存在は当然のように知ってはいたが、なかなか現物を見る機会には恵まれません。この歳になっては、対面は出来ないだろうと完全に諦めていたところ、今節展示中との情報を得て駆け付けました。

 

 

屋台は水引幕の金刺繍、胴板の彫刻それに土台幕の染め物と3種の飾りが楽しめる錺となっていました。錺の題材には「北条時政と江ノ島の竜神」や「富士之巻狩」など本年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」絡みの物もあり展示時期として非常にタイムリーでありました。

 

 

絶対見ることが出来ないと思っていた大島の屋台に逢えた。もう思い残すことは無い。

 

 

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